採用検査HowToガイド

1.採用担当者と応募者との間にある意外なギャップと本質

2015.04.20

1.採用担当者と応募者との間にある意外なギャップと本質

応募者にとっての就職とは、とても大きなライフイベントだ。その一方で企業にとっての採用活動は人件費というとても高価な買い物であるのと同時に、企業の将来を左右する大きなイベントだ。特に中小企業の場合は人件費の負担が経営に大きく関わるだけでなく、採用の失敗による悪影響が顕在化しやすい。

双方ともに、「良い就職をしたい」「良い人を採用したい」と考えているので思惑は完全に一致している。しかし、実際の採用活動や人事の現場には多くのギャップが存在しており、早期退職や人間関係のストレスなど様々な問題の原因となっている。

なぜ、このようなギャップが生まれるのか。こうしたギャップを埋めるために必要なことは何か。人事に横たわるギャップの本質を考察する。

ギャップの本質は省庁間の価値観の違いにも表われている

「学士力」と「社会人基礎力」という2つの言葉がある。これらはいずれも国の省庁が就職、労働に求められる能力のことを指しているものだが、それぞれの言葉を用いている省庁が異なる。前者の「学士力」は文部科学省、後者の「社会人基礎力」は経済産業省だ。

人材教育を管轄する文部科学省は、学力や教養などが重要であると考え、経済の舵取りを行っている経済産業省は、経済の最前線で活躍するための能力を重視している。同じ意味の言葉であっても、それぞれの呼び方にアプローチの違いがくっきりと表われている。この違いこそがギャップの本質であり、国の省庁ですら異なる価値観を持っているのだ。

コミュニケーション能力の意味を説明出来ますか?

採用の現場や人事などでとても重視される、コミュニケーション能力。日本経団連が行った2013年の調査においても、企業が選考にあたって特に重視した点の中でコミュニケーション能力は86.6%と堂々のトップだ。

言葉自体は今や日本語のひとつになっているが、果たしてこの言葉の意味を正しく説明出れだけいるだろうか?

理解ナビというサイトが、ユニークな調査結果を発表している。これによると、応募者である学生にとってのコミュニケーション能力とは、自分の考えをしっかりと相手に伝えられること、しっかりと発言できることとなる。事実、就職活動の現場では積極的に発言をして自己をアピールすることが是となっている。

しかし、企業側である社会人の思惑は違う。まだ業務経験はおろか社会人経験も浅い新人が積極的に発言をしたところで有益なものが多くあるわけではなく、むしろ逆効果になってしまう。つまり、企業が新人に求めるコミュニケーション能力とは発言するよりも多くのことを吸収するために聞く耳を持つことなのだ。同調査でも社会人の回答には「相手の気持ちを汲み取る能力」「相手を受け止めること」などといった相手を尊重するスキルを重視する回答が目立つ。

同じコミュニケーション能力という言葉であっても、立場が変われば意味が180度変わってしまうのが採用の現実だ。面接やグループディスカッションであんなにアピールしたのに結果が思わしくなかったという心当たりがある人の失敗は、実はこれが原因かも知れない。

人事を成功に導くのは正確な人物評価とマーケティング

企業にとっての採用活動は、マーケティングであると言われて久しい。一方で応募者にとっての就職活動は、自分を売り込む営業活動だ。これを成功させるには、両者ともに相手が何を求めているのかという思考と、正確な人物評価が欠かせない。

採用適性検査は人材を客観的かつ正確に評価するだけでなく、その結果が相手の求めているものと合致しているかを知るためのものというのが、本来あるべき姿なのだ。

すでに採用スキームが確立していて採用人数が多い大企業はともかく、採用人数が少ない中小企業で同じことをするのは難しい上に、人事の失敗が及ぼす影響が大きくなりやすい。そこでITを駆使した、精度と費用対効果の高い採用適性検査が大きな意味を持つ

この記事のまとめ
この記事のまとめ

採用側と応募側、それぞれ異なる立場の両者には人事に対する価値観が異なり、ギャップが存在する。ギャップの存在を認め、それを埋めて人事を成功させるポイントは正確な情報と人物評価だ。採用スキームが確立しておらず採用活動の失敗が及ぼす影響が大きくなる中小企業ほど、ITを駆使した費用対効果の高い採用適性検査が威力を発揮する。