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8.実録。 問題社員の及ぼす悪影響には、こんなことがある

2015.04.20

8.実録。 問題社員の及ぼす悪影響には、こんなことがある

採用時には見抜けなかったものの、入社後に問題行動を取る社員のことを問題社員という。入社した後の問題社員への対応は労務問題も関わってくるためナーバスになりがちで、採用しないという予防策が最も有効だ。

問題社員を採用してしまった場合には、どんな行動が見られるのか、そうした問題社員が及ぼす悪影響にはどのようなものが考えられるのだろうか。実際にあった事例をもとに紹介しよう。

問題社員の種類

問題社員と言ってもその種類は多岐にわたっており、明確な就業規則違反、時には法令に違反する犯罪行為に手を染める社員は論外として、明確な就業規則違反となっていないものの問題のある行動を取る社員もいる。日本組織内弁護士協会が定義した分類によると、問題社員は以下のようなカテゴライズされる。

・日常業務
業務の遂行に問題がある
仕事の能率が悪い
上司の指示に従わない
欠勤、遅刻が多い
取引先から金品を受け取っている など

・職場の規律
みだしなみに問題がある
宗教活動を業務に持ち込む
セクハラ行為、パワハラ行為
会社行事に参加しない
社内の備品を私用する など

・人事異動
配転拒否、転勤拒否
出向拒否、転籍拒否 など

・労働時間、休日、休暇
無断残業で残業代稼ぎをする
明確な理由がなく休日に出勤して理由に代休を求める
繁忙期に長期休暇を取得する など

・健康管理
疾患により業務遂行が困難
メンタルヘルス不調で業務が困難 など

・賃金処遇
賃金の不当な要求
通勤手当の不正受給 など

実際にはもっと多くの種類があるが、現場で問題になりやすいものだけを取り上げた。こうした行為の多くは、当の本人だけでなく組織全体に影響を及ぼしやすく放置するとモラルハザードを引き起こす原因にもなりかねない

さらにタチが悪い、明確に定義しにくい問題行動

先述の問題行動の多くは就業規則に違反しているため、それを理由に何らかの処分をすることは難しくない。しかし、問題社員の行動はそれだけではない。さらにタチの悪いのが、明確な定義が難しいグレーゾーンの問題行動だ。例えば、以下のような問題行動を見聞きしたことはないだろうか。

・遅刻が多いが電車遅延など理由があるので処分しにくい(始業時刻間際に出社している)
・上司の指示に従うものの就業態度が悪い
・社内外の評判が悪い
・セクハラ、パワハラまがいの行動を取る
・機密情報ではないが、SNSなどで社内事情などを書き込む

こうしたグレーゾーンの問題行動が処分の対象にならないことは、他の社員に多大な悪影響を及ぼす。モラルハザードだけでなく不平等感につながるため、重要な社員のモチベーション低下や退職など、重大な悪影響を及ぼす可能性がある。

民間の調査機関である労務行政研究所がまとめた「懲戒制度による実態調査」では、横領など犯罪行為に対しては8割以上の企業が懲戒解雇という最も厳しい処分を下している。その一方でグレーゾーンに含まれるような問題行動については戒告や注意処分などで済まされていることが多く、モラルハザードを生みやすい環境が見て取れる。

この記事のまとめ
この記事のまとめ

問題社員の種類はとても多く、細分化されている。明確な犯罪行為や就業規則違反となっているものもあれば、グレーゾーンで処分が難しいものもある。いずれの場合も組織にさまざまな悪影響を及ぼすため、採用活動では問題社員のリスク因子を持っている人を見分けて採用しないスキームが求められる。