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5.求めることすべてをこなす完璧な人材はいるのか?100%を求めるとこうなる

2015.04.20

5.求めることすべてをこなす完璧な人材はいるのか?100%を求めるとこうなる

求めていることに100%応えるべき、応えてもらいたいという考え方のことを完璧主義という。これはもちろん理想であるが、理想というのは永遠に手が届かないからこそ理想である。この世に完璧な人などいないというのは一般的な認識だが、採用の現場ではこの完璧主義が時折問題を引き起こしている。採用活動が人を相手にする業務であるにもかかわらず、だ。

完璧主義が人事にもたらす弊害とはどんなものだろうか、採用活動に100%を求めてはいけない理由を述べよう。

完璧主義とは減点法

100%を求める完璧主義は、裏を返せば「100%にこれだけ足りない」という評価を意味する。完璧な人間などいないことを考えると、誰もが「これだけ足りない」という評価を突きつけられ続けることになる。いわゆる減点法の評価は人材のモチベーションを低下させるだけでなく、近年ではメンタルヘルスへの悪影響も指摘されている。

厚生労働省の「患者調査」では平成8年から20年まで12年間に及ぶ「気分障害患者数」が集計されている。その中でずば抜けて患者数が増加しているのがうつ病で、同調査ではその中でも若年層を中心に新型うつ病が増加していると指摘している。新型うつ病は従来のうつ病に無かったような症状を発するのが特徴で、過度のストレスや期待に応えようとするもののそれに及ばない自分への嫌悪などが原因であると見られている。もうお分かりだと思うが、完璧主義が近年の新型うつ病と深く関わっているのは想像に難くない。

減点法評価は、企業から社員に対して「こんなに足りないことが多い」という不満につながり、一方の社員にとっては「どれだけ頑張っても足りないと言われる」というストレスを生むため、双方にとってメリットがないとも言える。

しかし企業側にとっての減点法とは、有能な人材を選びたいという意識の表れでもあるのだ。選択肢があって、そこからより良い人材を選びたいと思えば思うほど減点法になってしまう側面があるので、減点法の全てが悪いわけはない。企業も応募者から選ばれる立場であるという認識を持てば、最低限のレベルを見極めた上でそこからは加点法で評価できるのではないだろうか。

適性検査で減点法のデメリットを克服

完璧主義が及ぼす弊害は、採用活動にも起こりうる。面接試験の結果、採用する応募者を絞り込んだものの、「もっと良い学生に出会えるかも知れない」とばかりに内定を出す時期を遅らせたり、仮に内定を出しても積極的な囲い込みをしなければ内定辞退につながり、優秀な人材を逃してしまう可能性がある。

それで本当に「もっと良い人材」に巡り会えれば良いが、優秀な人材は他社でも囲い込もうとするため、そこから先に出会う人材がずば抜けて優秀である可能性は極めて低いだろう。

最低限のレベルをクリアしている応募者を適性検査で選別し、そこから先は面接などによって加点法で評価することができれば、このように人材を逃してしまうリスクも軽減される。このように適性検査が従来の採用活動を補完できる関係が望ましい。

この記事のまとめ
この記事のまとめ

この世に完璧な人間などいないというのは感覚的に分かっているものの、採用活動には完璧主義が持ち込まれやすい。適性検査による正確な人材評価ができれば、自社が求める最低限のレベルをクリアしているか否かを判定できるため、そこから先は面接などの手法で加点法の評価ができるため、弊害の多い完璧主義だけに依存した評価からの脱却も可能になる。