採用検査HowToガイド

3.本当にわかってる?本質の見えない採用要件

2015.04.20

3.本当にわかってる?本質の見えない採用要件

採用要件とは、企業が「こういう人を求めている」という公式のアナウンスだ。学生はこれを見て応募してくるわけだが、この採用要件そのものを採用活動の主体である企業が本当に理解しているのかというと、意外にもそうではない場合がある。

採用側の自己分析も兼ねて、本当に欲しい人材とは何か?見えない部分に隠れていることの多い本質について考察してみよう。

「長年の経験」と現実との間に横たわるギャップ

採用活動は長年の経験やこれまでの慣習などに依存する部分が依然として大きい。それでこれまでうまくいってきたからというのが最大の根拠だが、確かにこれは一理あるかも知れない。あくまでも表面上は。

というのも、経験則だけに依存した採用活動だと、どうしてもある一種類の人材ばかりを好んで採用することになってしまう。採用担当者や経営陣も人間であって、企業のためになる人材よりも気に入った人材を採用しようとしてしまうからだ。

もちろん、企業組織を快適なものにするためには、気に入った人材を集めることも重要だ。しかし、これからの時代を勝ち抜くために欠かせない、人材の多様性が損なわれることは、長い時間をかけて企業に機会損失をもたらす。

多様な価値観で企業に新しい風を吹き込む人材を確保するという意味でも、採用活動の客観的に可視化することも重要だ。採用活動を客観視することができれば、採用要件の本質が見えてくるはずだ。

即戦力求む!とは言うものの、本音は?

企業側はよく即戦力を求めているといったニュアンスのメッセージを発することが多い。しかし、実際に採用する人材を見ると企業の本音が垣間見える。それを裏付けるようなデータが、2008年にベネッセ教育研究開発センターが行った「社員採用時の学力評価に関する調査」だ。

これによると、採用時に重視するのはポテンシャル(潜在能力)であるという回答が約60%に達しており、従来から続くポテンシャル重視志向が根強いことが窺える。しかし、数値的に見るとこの中には対外的に「即戦力求む」とアナウンスしている企業も相当数含まれているはずだ。内心では(無意識には?)新人にポテンシャルを求めているにもかかわらずだ。

即戦力は入社直後にスキルを発揮して戦力となってくれる人材のことだが、すでにスキルが身に付いている人は自分のやり方が確立している可能性が高く、それが組織にうまく順応する保証はない。逆に仕事の進め方で軋轢を生む可能性は高く、即戦力を採用することを無意識に警戒している姿が浮き彫りになっている。企業側の本音は、人材にポテンシャルを求めているのだ。

採用要件を客観的に可視化する

本当に自分たちの会社にとって必要な人材とは何か?これは常に自問自答する必要のあるテーマだ。一度客観視したから永続的に同じというわけでもなく、時代の変化や会社を取り巻く状況の変化に応じて、柔軟に形を変えていく必要がある。

採用要件を可視化することは、当サイトが提唱している採用活動マーケティングの重要な第一歩なのだ。これはもちろん、応募側の学生にとっても言えることで、自分自身の能力や本当にやりたいこと、なりたい自分を客観的に知ることによって本当に応募するべき企業が見えてくるのと同じだ。

この記事のまとめ
この記事のまとめ

自社の採用活動を客観視することは、採用活動マーケティングの重要な第一歩だ。経験則だけに依存した採用活動では見えにくい部分で、これまでうまくいったからという根拠だけに頼らず、常に時代の変化に応じて形を変えながら、求める人材を的確に絞り込む必要がある。