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11.人材は宝物! 埋もれたガラクタから原石を探し出すノウハウとは?

2015.05.11

人材のことを「人財」と表現することが多いのは、それだけ人が組織にとって、会社にとって、経営にとって極めて重要な財産であることの証左だ。

採用活動の時には特に目立った部分がなく、意識することがないまま選考から漏れてしまった人が、実はダイヤモンドの原石だったかも知れない。そんな人が同業他社に入社して大活躍したとしたら…。
そこまで考えてしまうと悩みは尽きないが、ガラクタの山だと思っていたところに眠るダイヤの原石を探し出すノウハウの重要性は増すばかりだ。

面接による人の見極めには限界がある

応募者の人間性を知ることの重要性は、もちろん以前から広く認識されている。そのための手段が面接試験であり、面接をせずに人材を採用することはまずない。ここには「会ってみればだいたいのことは分かる」という自信が根拠になっていることが多く、長らく人となりを見極めるための手段として広く用いられてきた。

しかし、「国に政策あれば民に対策あり」という中国の有名な言葉が示しているように、人材を見極める鉄板として機能してきた面接試験対策が広まるとともに、小手先のテクニックで面接試験を乗り切ることも可能になってしまった。それを見抜けるだけの眼を持っている面接官であれば良いが、全ての人がそうとは限らない。最後の関門として社長や役員など経営陣による面接試験を実施している企業は多いが、こうした人たちは経営のプロであって、人事のプロではない。しかし上層部の人たちゆえに現場からダメ出しをするのも難しく誤った人の見極めが修正されることなく採用されてしまう可能性が高い。

面接に頼りきりの採用活動と経営陣による人事だけでは、ガラクタからダイヤの原石を見つけ出すのは限界があるのだ。

人間性や仕事への姿勢などを見抜くには

そこで普及しているのが、適性検査だ。株式会社シンカによる2009年の調査によると、調査サンプルである155社のうち、81%もの企業が何らかの形で適性検査を実施している。さらに、その中で1割近くの企業は複数の適性検査を利用していることも分かった。

さらに、その適性検査の結果をどれほど重視しているのかという項目では、能力と適性が拮抗しており、能力と同じだけ潜在的な人間性を重視していることも分かる。このことから見えてくるのは、大きく分けて2つだ。

1つ目は、同調査の適性検査に期待することという項目でストレス耐性がトップに上がっていることから分かるように、採用後にメンタルヘルスの問題を起こすリスク因子があるかどうかを知りたいと考えている点。2つ目は、他の選考方法だと見落としてしまうような応募者のポテンシャルを知ることで、ダイヤの原石を見つけたいという思惑がある。

適性検査をすればオールOKではない

このように適性検査に期待する部分は大きくなっているが、ニーズの高い分野でもあるため、その種類はとても多い。種類が多い上に、どこに重点を置けば良いのかといったノウハウまでは普及してないため、その中身まではあまり精査されることなく導入している事例が依然として多い。

つまり適性検査は、採用活動のために戦略的に活用するというより、「やっておけば安心」という御守袋のような存在になってしまっているのだ。せっかくの適性検査を形式的に実施するのではなく、面接とリンクした内容であることが望ましい。
例えば、適性検査で露見している弱点について面接で質問してみて反応を見るという手法は非常に有効で、短時間で効率良く応募者の人物像に迫ることができる。

この記事のまとめ
この記事のまとめ

ガラクタの中からダイヤの原石を見つけ出すには、これまでの方法だけではなく科学的なアプローチによる人物評価が必要になる。そのための最も現実的な手段が適性検査だが、単に実施することで納得するのではなく、結果を面接での質問事項に活用するなどの関連性を持たせることでより正確な人物評価が可能になる。