15. 比べてみよう!検査には、どんな種類がある?
採用時の適性検査が重要であると広く認識され、それと同時に企業からの期待値も高くなっている。それに伴い、適性検査をしていれば何でも良いという時代から、より自社の業務や求めている人材にマッチした適性検査であるべきという認識も広がりつつある。
よりマッチしたものを選ぶために、適性検査にはどんな種類のものがあるのか、それぞれの種類と役割を解説しよう。
企業が採用適性検査に求める項目
企業が採用適性検査に何を求めているのか、まずはそれを知ることから適性検査の種類を見ると分かりやすい。
HR総研の「適性検査に関するアンケート調査」では性格・気質診断が1位、適職診断が2位、行動特性が3位、ストレス診断が4位となっており、その人物の本質的な部分を把握したいという思惑が顕著に出ている。(http://www.hrpro.co.jp/research_detail.php?r_no=83)他の同様の調査でもよく似た結果が出ており、採用適性検査に対する企業のニーズはおおむね決まっている。
それぞれの適性検査が持つ特性と役割
こうした企業のニーズを反映する形で、適性検査にはおおむね以下のような分類がある。
・心理テスト(性格テスト)
→行動パターンや発想のパターンから潜在的な心理傾向や考え方を探る。
・適性テスト
→どんな領域の職業に適性があるのかを調べる。すでに職種が限定されている場合は、その職種に向いているかを調べる。
・能力、知能テスト
→一般的な知的能力を調べるためのテスト。知能テストは知識や学力に関係なく、その人の知能因子を測定する。
・パーソナリティテスト
→意識、無意識にかかわらずその人の性格や傾向を測定する。
・興味テスト
→対象となる職業に対する興味の強さを測定する。
これらを複合的に採用して作られているのが、各社が提供している採用適性検査だ。CUBICやSPI2、HCi-AS、DPI/DISTなど、ほとんどの適性検査がパッケージ商品になっているので、用途に応じて上記それぞれの領域からテストを組み合わせて実施されている。
後は、適性検査を導入する企業がどこに重点を置くか、どのように採用活動に落とし込みたいかというニーズによって比較検討することになる。
今後の適性検査に期待されていること
企業経営を取り巻く環境が刻一刻と変化しているのと同じように、人事や採用活動も常に変化している。今後の採用活動においては適性検査の占めるウェイトがさらに高まると見られており、そこに寄せられる期待も大きい。
米国にはゼロックスなど一部の企業で、採用活動の全てをアルゴリズム化した上で適性検査を実施、その結果のみで採否を判断している事例があるという米紙ウォールストリートジャーナルの報道も興味深い。(http://jp.wsj.com/public/page/0_0_WJPP_7000-515615.html)
株式会社シンカによる「適性検査に関するアンケート調査」では、今後の適性検査に期待することとして「ストレス耐性等の項目充足」がトップに挙っている。2位以下は「価格の低下」「信頼性の向上」「診断データ活用方法の充足」となっており、サービスの向上を求めるものばかりであることを考えると、1位のストレス耐性に対するニーズが際だって具体的であることが分かる。(https://www.hrpro.co.jp/result_091023_02.php)
各社が提供している適性検査も、多くはこの分野を強くする試みが続けられており、適性検査を比較検討する際、今後のトレンドとなることは間違いなさそうだ。
この記事のまとめ
一口に適性検査といっても、そこには多くの領域や分類がある。それらは適性検査を行う企業側のニーズに応える形でラインナップされており、自社のニーズに合わせて最適なものを選ぶことが望ましい。これだけたくさんの種類があると、自社として何を重視したいのか、見極めたいのかといったニーズをハッキリさせておくことが、最適な適性検査選びにおいてとても重要だ。