採用検査HowToガイド

10.学歴だけでは測れない!? 面接と検査結果など多角的に人物像に迫る

2015.04.20

10.学歴だけでは測れない! 面接と検査結果など多角的に人物像に迫る

最近ではかなり状況が変わってきているとは言え、今も選考の中で意識されるのが学歴だ。学歴は単に最終的に卒業した学校の難易度や学んできたことを知り得るだけでなく、そこに至る本人の取り組みや志向などを窺い知ることもできるため、採用活動の物差しとして機能している。

この意味からも学歴を考慮することに問題は無いが、それだけだと多角的な視点を持てず、偏った人材を採用し続けてしまったり、その応募者のポテンシャルや「人となり」が見えないまま採否を決めてしまうリスクもはらむ。

学歴に加えて面接や適性検査の結果など、あらゆる視点のメリットとデメリットを認識して、多角的な視点による柔軟かつ正確な人物評価を考察する。

面接官の主観的視点のメリット、デメリット

面接官は一種の職人のような存在だ。ベテランほど多くの応募者と向き合って面接試験をこなし、採用した人物がその後どうなったのかという結果までトレースしているので、人事経験の生き字引といって良いだろう。「こういう受け答えをする人は活躍する」という感覚的なものは非科学的かも知れないが、時としてそれが威力を発揮する。こうした経験や感覚に基づく人物評価ができるのは、主観的な視点のメリットだ。

一方、やはり面接官も人間なので生理的な好き嫌いや学歴による先入観などが評価に影響を及ぼすことがある。自身と出身地が同じであったり、出身大学の後輩であれば面接の話も弾むであろうし、外見的な好き嫌いも当然あるだろう。友達を作るのであればこれでも問題はないが、こうした主観的な要素が入り込んだまま上層部に報告すると誤った伝わり方をする可能性が高く、こうしたデメリットを克服するために客観的な視点を考慮する必要がある。

適性検査など客観的視点のメリット、デメリット

客観的な人物評価の手段としてよく活用されているのが、適性検査だ。応募者本人も気づいていないようなポテンシャルや資質などまで可視化できるため、そこに主観や私情の入り込む余地はない。特に採用後の問題を回避するために、採用したい人物を絞り込むだけでなく、「採用してはいけない人物」のリスク因子をあぶり出すことに大きなメリットがある。

ただし、採用検査も万能ではない。先述した面接官の感覚的な印象などは計測できないため、最終的な採用可否の判断は人間がするべきという構図は今後も変わらない。

適性検査で企業は「採用してはいけない人」を知りたがっている

ところで、適性検査によって企業が何を知りたいと考えているのだろうか。それを示すデータを2つ紹介しよう。

1つ目は就職・転職情報サイトのエン・ジャパンが実施した適性検査に関するアンケート。これは中途採用向けのアンケート調査だが、スキルや経験重視の中途採用であっても半数以上の企業で適性検査が実施されており、そこでチェックされている上位のポイントは「性格特性」「業務適性」1位と2位となっている。4位にランクインしている「ストレス耐性」というのも興味深い。

2つ目は、HR総研による「人事支援サービスに関するアンケート調査」。この調査には数ある適性検査のうち、どんなタイプのものを利用しているかという集計結果があり、「性格・気質診断」が断トツの1位となった。2位以下には適職診断や行動特性診断が続くが、こちらも4位に「ストレス・メンタルヘルス診断」がランクイン。

この2つの調査結果を見ても、企業は採用したい人材を見分けるのと同時に、「採用してはいけない人」を見分けようとしていることが窺える。

この記事のまとめ
この記事のまとめ

面接官という人間的な主観と、適性検査による客観的な情報。この両者にはそれぞれメリットがあり、デメリットがある。採用活動を成功させるには、いかにその両者の「いいとこ取り」をできるかにかかっている。人間が持つ感覚的な評価と適性検査による客観的な評価をうまく組み合わせ、多角的に評価することが求められる。