19. 社内プレゼンに備える!想定問答集、準備のすすめ
採用の現場から上層部に適性検査の必要性を説明し、導入の決裁を得るために通らなければならないのが、社内プレゼンだ。そこで想定されるツッコミと受け答えを事前に準備して失敗のないプレゼンに臨みたい。
そこで、採用適性検査を導入するための社内プレゼンに必要な準備と、想定される問答をまとめてみた。
時代背景を伝えて今あるリスクを認識してもらう
プレゼンの冒頭は、時代背景と今回の提案に至った経緯を説明するのが常道だ。なぜ適性検査が必要なのか、各社で導入が進んでいるのか、その時代背景を理解してもらおう。
- 問題社員を採用してしまうリスクを軽減
- 潜在的なポテンシャルを秘めた人を採用できるメリット
- 採用活動の最適化、合理化、コスト削減、期間短縮
- 客観的な視点を持つことによる人事の公平化、安定化
上記が主な時代背景と適性検査を導入することのメリットだ。
近年はネットからのエントリーが大半になっているので軽い気持ちの応募者を含めると人数だけはとても多くなり、採用活動が煩雑になっている。それを解決するための手段が適性検査で、初期段階で良質な母集団をつくり出すための「ふるい」として役だってくれる。
こうした現場視点でのメリットと、社会的な視点からのメリットを織り交ぜつつプレゼンに至った経緯を理解してもらうと、その後のプレゼンがスムーズだ。
導入メリットに費用対効果を交えて明文化
必ずツッコミが入る部分と言えば、費用の問題だ。費用対効果について明確な回答を持っていないと絵に描いた餅に終わってしまう恐れすらある。
1人あたり数千円の診断コストで、向こう何十年にもわたる人事、組織への影響を事前に把握できる点、埋もれていた人材を発掘できることで会社にもたらされる利益などで答えるのが常道だ。特に上層部はリスクに対して敏感なので、問題社員の採用を回避できるメリットが効きやすい。
メンタルヘルスの問題は多くの企業でも同様の声が上がっており、それを引用しながら説明すると説得力が増す。
HR総研の「適性検査に関するアンケート調査」で今後導入してほしい検査項目に「ストレス・メンタルヘルス診断」が1位担っている事実や、同じくHR総研の「2015年新卒採用中間総括調査 結果報告」でも従業員数1001人以上の大企業において「ストレス・メンタルヘルス診断」のニーズが突出している点(つまり大企業はその必要性にすでに着目している)など、他にも同様の結果となっているデータがあるため、積極的に活用したい。
http://www.hrpro.co.jp/research_detail.php?r_no=83
http://www.hrpro.co.jp/research_detail.php?r_no=92
決して従来のやり方を否定しない
これはツッコミを未然に防ぐという意味で留意したいことだが、人事には各社それぞれの経験則が存在する。その方法でこれまでうまくいってきたという自信もついて回るため、新たに適性検査を導入するとなるとこうした経験則を否定することになりがちだ。
しかし、これは決してやってはいけない。
従来からのやり方を守ってきた人たちに対して不快な思いをさせるだけでなく、本当に良い部分もあるのでそれを否定する必要はないからだ。適性検査は万能ではなく、あくまでも従来からある採用活動を補完するものであるという位置づけが丁度良い。米国では職種によって適性検査の結果だけで採否が決まる採用活動も行われているが、これは多くの日本企業の風土には合わない。
従来からの選考方法だけでは見落としがちな部分、選考から漏れてしまいがちなダイヤの原石を拾うための適性検査であるという締めくくりで、上層部の心をしっかりと掴もう。
この記事のまとめ
適性検査導入に向けての社内プレゼン、その基本は時代背景と必要性の認識、そしてとても高い費用対効果への理解、最後は既存の採用手法との共存だ。この流れでプレゼンを展開すれば想定の範囲内での問答となり、スムーズに導入までたどり着く可能性が高くなる。